
歯周病は、進行度によって治療内容も期間も大きく異なり、軽度であれば数ヶ月、重度であれば数年単位での管理が必要な場合もあります。
この記事では、歯周病の進行別の症状と治療法、そして治療期間の目安をわかりやすく解説します。
目次
■歯周病は治る?治らない?基本の考え方
まず理解したいのは「歯周病は治るのか?」という疑問。
実は、歯周病は“元どおりに戻す”という意味では完全には治りません。しかし、進行を止め、健康な状態を保つことは可能です。
◎歯周病は「完治」ではなく“コントロールする病気”
歯周病は、炎症が原因で歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)が溶けてしまう病気で、一度失われた骨が自然に完全再生することはありません。しかし、適切な治療を行うことで進行を止めることは可能で、症状の改善も十分に期待できます。
◎初期なら治るに近い状態まで回復できる
歯肉炎〜軽度歯周病であれば、歯ぐきの腫れや出血は改善し、健全な状態に近いレベルまで戻せることがほとんどです。この段階での治療は数週間〜数ヶ月で終わることが多く、早期受診が非常に重要です。
■歯周病の進行別:症状と治療方法
歯周病は「軽度・中等度・重度」で治療内容も期間も異なります。ここでは、進行別に症状と治療法、そしておおよその期間の目安を説明します。
◎【軽度歯周病】歯肉炎を含む初期段階
症状
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歯ぐきの腫れ
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出血
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歯の動揺なし
治療内容
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プラーク・歯石除去(スケーリング)
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ブラッシング指導
期間の目安
2週間〜3ヶ月ほど。
適切なセルフケアで改善しやすく、「治る」に近い状態まで戻せる段階です。
◎【中等度歯周病】骨が溶け始める段階
症状
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歯ぐきが下がる
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歯が少し動くことがある
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冷たいものがしみることがある
治療内容
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SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
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噛み合わせの調整
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必要に応じて歯周外科の検討
期間の目安
3ヶ月〜半年以上。
歯ぐきが引き締まり、炎症を抑えるまで時間がかかるケースもあります。
◎【重度歯周病】歯が大きく揺れ、抜歯が必要なことも
症状
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歯の大きな動揺
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膿が出る
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歯ぐきの大幅な退縮
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噛めない・痛みがある
治療内容(症例による)
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歯周外科手術(フラップ手術)
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再生療法
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抜歯+インプラントやブリッジの検討
期間の目安
半年〜数年単位。
歯ぐきや顎骨の再生・安定には時間がかかり、改善後も定期的なメンテナンスが欠かせません。
■治療期間はどのくらい?一概に言えない理由
歯周病の治療期間は、実際には患者さまの状態と生活習慣によって大きく差が出ます。
◎軽度なら数ヶ月、重度なら数年かかることも
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軽度歯周病:2週間〜数ヶ月
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中等度:数ヶ月〜半年
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重度:半年〜数年単位の管理が必要
特に重度の場合は、治療期間そのものより「長く安定した状態を保つためのメンテナンス期間」が非常に重要で、生涯注意していくことが大切です。
■歯周病を改善し、進行を止めるために大切なこと
歯周病治療を成功させるには、「歯科医院の治療」だけでなく「日々のセルフケア」が不可欠です。
◎治療後のメンテナンスが“治る・治らない”を左右する
歯周病は日々のセルフケアや歯科医院でのチェックが不足すると再発しやすい性質があります。そのため、歯石取りだけして終了ではなく、3〜4ヶ月に一度の定期メンテナンスが非常に重要なのです。
◎自宅でのケアも治療期間を短くするポイント
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正しいブラッシング
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歯間ブラシ・フロスの使用
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生活習慣の見直し
など、小さな積み重ねが治療結果に大きく影響します。
【歯周病は“治す”より“進行を止める”ことが重要】
歯周病は、進行すると元どおりに戻すことは難しいですが、適切な治療で進行を止め、健康な状態に近づけることは可能です。
気になる症状がある方は、悪化する前に早めの受診をおすすめします。

