妊娠中、「歯医者に行っても大丈夫？」と不安に思う方は少なくありません。

実は、妊娠中でも多くの場合は安全に受診できます。ただ、時期や体調によって注意が必要です。

この記事では、妊娠中に起こりやすいトラブルの原因や対策、歯科を受診するタイミングのポイントまで、わかりやすくまとめました。

お腹の赤ちゃんのことも考えながら、無理なくお口の健康を守るための参考にしてください。

■妊娠中に歯医者へ行っても大丈夫？

まずは多くの方が心配する「妊娠中に歯医者へ行ってよいのか？」という疑問に回答します。結論、ほとんどの場合は受診できます。ただし、時期によって注意点があります。

一般的に、妊娠中の歯科治療は妊娠中期（16〜27週）が比較的安全とされています。

一方で、妊娠初期はつわりで体調が安定しないことが多く、妊娠後期はお腹が大きく仰向け姿勢がつらいこともあります。

ただし、急性の痛み・腫れ・歯ぐきからの出血などは妊娠中でも治療が必要です。

母体や赤ちゃんに影響が出ないよう配慮しながら進めるため、遠慮せず歯科医院へ相談してください。

■妊娠中はなぜお口のトラブルが起こりやすいの？

妊娠すると、今まで気にならなかった口内炎や歯肉炎が急に増えた…という方が多くいます。その理由は、大きく分けて3つあります。

① ホルモンバランスの変化

妊娠中は女性ホルモンが増加し、歯ぐきに炎症が起きやすくなります。

そのため、少しの汚れでも歯肉炎になりやすく、歯ぐきの腫れ・出血が起こりやすくなります。

② つわりや食習慣の変化

つわりで歯みがきをするのがつらい、酸っぱい物を食べる回数が増えることで、むし歯になりやすくなります。「磨き残し＋酸（むし歯の原因となる）」が増えることが、妊娠中のむし歯リスクを大きくする理由です。

③ 唾液量の変化

妊娠中は口が乾燥しやすく、唾液による自浄作用（お口をきれいにする力）が低下します。また、口臭が強くなる原因にもつながります。

■妊娠中に多いお口のトラブル

ここでは、妊娠中に起こりやすい代表的なお口の症状について解説します。「妊娠中の口内炎」「妊娠中の口臭」「妊娠中のヘルペス」など、よくある悩みに対応した内容です。

◎口内炎・口角炎

免疫力の低下や栄養バランスの変化により、小さな傷でも炎症が起こりやすくなります。

口角炎は口の端が切れて痛む症状で、唾液の乾燥やビタミン不足が原因のことも。

こまめな保湿が効果的です。

◎歯肉炎（妊娠性歯肉炎）

妊娠中の歯ぐきはとてもデリケートで、赤く腫れたり出血しやすくなったりします。

口腔内の清掃を改善するだけでも症状が落ち着く場合が多いため、体調が良い時に歯医者への受診がおすすめです。

◎口唇ヘルペス

ストレスや疲労、免疫低下などが重なって出やすくなる症状のひとつです。

妊娠中でも使用できる薬がありますが、自己判断せず医療機関に相談してください。

◎口臭の悪化

口臭は、むし歯・歯肉炎・唾液の減少など複数の要因で起こります。

妊娠中は特に乾燥しやすいため、こまめな水分補給やケアが大切です。

■妊娠中に歯医者へ行くときのポイント

治療の安全性を高めるために、妊娠中に歯医者へ行く場合の注意点をまとめました。

• 妊娠していること（週数も）必ず伝える

• 母子手帳を持参する

• 長時間の治療が難しい場合は事前に相談

• 心配な薬やレントゲンについては遠慮なく質問する

• 体調が悪い日は無理して受診しない

妊娠中だからといって、必要な治療ができないわけではありません。

安全を優先しながら、できる範囲で治療を進めていきます。

【妊娠中の歯医者は基本的に受診OK。時期の見極めが大切】

妊娠中は、ホルモンバランスや生活習慣の変化により“お口のトラブルが起こりやすい時期”です。妊娠中に歯医者へ行くことは基本的に問題なく、適切なタイミングと配慮があれば安心して治療を受けられます。ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。